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「設計事務所との家づくり」その1・契約までの流れ/間取りは、契約の前にどこまで決まるのか

投稿日:2026年10月27日 | 読了時間:約6分 | カテゴリー:家づくりの基礎知識


「設計事務所に相談すると、最初にいきなり大きな契約を結ぶのでは」 「一度決めたら、あとから変えられないのでは」

設計事務所との家づくりの流れは、あまり知られていないようです。何をしてもらえるのかが分からなければ、相談するまで慎重になるのは当然だと思います。

それが「敷居が高い」とよく言われる理由の一つかもしれません。

設計事務所によって異なりますが、多くは設計契約の前に、相談と基本計画のご提案があります。今回はその段階で何をして何が決まるのかを書いてみます。

最初の相談で話すこと

私たちの場合は、最初に無料相談会でご相談をいただきます。だいたい1〜2回です。ご要望やご予算、家づくりに関する質問や暮らしのイメージを伺います。また、家づくりの流れ、私たちの仕事、費用もお伝えします。

お互いに自己紹介をするような感じです。

その際に、基本計画をご提案するかどうかを確認します。ご提案すると決まってから次に進みます。

初期費用15万円でお渡しするもの

私たちは基本計画のご提案に初期費用として15万円(税別)をいただいています。第一案を検討する作業料です。この段階では契約書を交わさずにお互いの合意で進めていきます。

第一案をご提案できるのは、3〜4週間後です。その間に次のことをしています。

  • ヒアリング:無料相談会で伺った内容で足りない点を、あらためて伺います

  • 敷地調査:法務局で測量図を入手し、現地へ伺って敷地と近隣の特徴を読み込みます(この段階で敷地の良いところを探し出します)

  • 法令調査:役所に伺い、都市計画や条例を調べます

そのうえで計画案と概算見積書をお渡しします。

遠方の場合は、15万円とは別に旅費(交通費・宿泊費)がかかります。オンラインでの打ち合わせもできますが、できるだけ現地を見てから計画を考え始めたいです。

迷いや違和感は、この段階で伝え合う

第一案を見ていただき、気になるところ、違和感があるところを率直に伝えてください。私たちからも検討しながら気になっていることを伝えます。

雪の多い地方のある計画のことです。ご要望は玄関を道路側にしてほしいというものでした。理由は毎日の雪かきの苦労を減らしたいということです。

その要望に沿って提案した案は、屋内に無駄な廊下ができてしまい、敷地の使い方にも違和感がありました。私自身、もう少し何とかしないといけないと感じていました。第一案をお出しするときに、そのことを伝えました。

すると施主からは、温暖化の影響もあり大変なのは年に数回の大雪のときだけだから、と玄関の位置を見直した提案を求められました。

玄関の位置を変えると、アプローチが豊かになり、カーポートへの出入りも良くなりました。屋内の間取りも良くなり、結果的に喜んでいただけました。

違和感は、施主からも設計者からも伝え合った方が良いです。ご要望の奥にある理由を一緒に確かめることで、提案が良い方向に変わることがあります。

合わなければ、第二案で終えることもできる

第一案をご覧いただいて、イメージしていたものと全く違うと感じることもあると思います。そのときはここで終わりにできます。

さらにもう一案見てみたいという方には、第二案をご提案します。第二案は初期費用の15万円に含まれます。第一案の一部を少し変えたものは、第二案とは呼びません。第二案はまったく別の新しい案になります。

第二案をお出しして、結局、最初の案が良いと分かることもありました。ほかの案を考えてみたことが、最初の案への納得につながります。

第三案に進むかどうかは、難しい判断です。第二案までで合意できないときは、家づくりの思いが違うことが多く、第二案で終えるほうが、お互いにとって良いときがあります。その場合は15万円で精算して終わります。

施主の側から見ると、気に入らないときや私たちと性格が合わないと感じたとき、断りたいときに、初期費用の15万円で気軽に終われます(私たちには辛いことですが)。2つの別々の案を見て、ご自分たちの要望に応えているかを確かめたうえで、設計を任せるかどうかを決められます。

基本計画のご了承から、設計契約へ

基本計画をご了承いただいたら、設計契約(設計監理委託契約)を結びます。ご了承は、これから私たちと一緒に設計を進めていくという意思表示でもあります。

契約の前には重要事項説明を書面でして、内容を了解していただきます。契約していただいた場合は、初期費用の15万円は設計監理料に含まれます。

なお、設計契約には解除の条項があり途中で解約することもできます。解約する場合はそこまでの作業に応じた報酬をお支払いいただきます。

デメリットも書いておきます。基本計画がまとまるまでに、3か月以上かかる場合もあります。まとまらないと次の段階に進めません。そのぶん全体のスケジュールも延びてしまいます。完成時期が決まっている時は、基本計画を早めに決めることが大事です。

変えられることと、変えられる時期

設計契約後に基本設計に入ります。基本設計は基本計画で合意を得た内容をより具体的に図面化していく作業です。基本計画では描かれていなかった空調計画や構造計画の初期段階が反映されていきます。

ここからの変更は、大きな変更と、小さな変更に分かれます。

大きな変更は計画全体や予算、工期に影響するものです。基本計画から部屋を大きくしたい、建物全体を小さくしたいといった変更がこれにあたります。

このような規模の変更があると基本設計が固まるまで時間がかかります。その分スケジュールが延びてしまい工期に影響が出てきます。

一方、小さな変更は工事の完成までできるだけ対応していきます。これは次回、詳しく書きます。

私たちは変更をお断りすることはほとんどありません。ただ変更するタイミングや費用、その影響を考慮して判断していただきたいと考えています。

まとめ

設計事務所に家づくりを依頼すると決める(設計契約をする)前に、相談をして、初期費用(事務所によって異なります)を払い、基本計画を提案してもらう段階があります。そこで間取りと概算見積書を見て迷いや違和感を伝え、必要なら第二案も依頼することができます。気に入らなければ設計契約を結ぶ前に終えることができます。

次回は、設計契約のあと、基本設計から工事契約までを書きます。

契約の前に何が分かるのか、まず無料相談会で聞いてみてください。

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木下治仁

一級建築士/合同会社HKA 代表

1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。

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