多くの方に共感してもらえる家──住宅は建築家の感性だけでは作れない
2月9日、10日と2日間、福岡で家づくりを展開している地域工務店を訪問しました。新しいモデルハウスでの取り組みと、10年目を迎えたモデルハウスでの実績を学びました。参加者は西日本の地域工務店6名と建築家3名。昨年から活動している家づくりの仲間たちです。

スタッフ全員で設計
新しくオープンしたモデルハウスに伺いました。コーディーネーターを務めてくれた建築家の池田聖さんから紹介をしてもらい、その後、お互いの自己紹介です。
今回は、福岡支店のスタッフみんなで設計をされたそうです。通常であれば、設計者は一人の方が全体のバランスが取れるので良いと思っています。この場合、スタッフは設計者の言葉を借りて話すことになり、腑に落ちないまま説明しないといけません。
そこで、スタッフそれぞれに建具担当、照明担当、家具担当、植栽担当など、役割を与えて設計に参加してもらったそうです。
スタッフの感想
初めての取り組みに対するスタッフの感想です。
・設計には理由があるのだと学んだ
・モノ選びにも理由が必要だと思う
・決めた理由をチームで共有できた
・備品に愛着が湧いた
・タイルなど仕上げも自分たちで選んだ
・この思いを建築主に伝えたい
・スタッフが成長する機会になった
・任せられても判断が難しい(方向性だけでも示してほしい)
・楽しかった
プラスの意見が多かったです。
最近はSNSで共感する機会が多いので、まずは自分たちが心底良いと思うことを伝えたないと、建築主には共感してもらえないのだと思います。
築10年目のモデルハウス

次に、今年で10年目を迎えるモデルハウスを見学しました。こちらは打って変わって、明らかに仕様、規模、デザインが違います。
当時、新しいチャレンジであり、「らしくない」と反対する意見もあったそうです。それでも新しい建築主の層を呼び込むことができ、改めて自分たちらしさを考え直すきっかけになったそうです。
ここでは営業の仕組みを伺うことができ、私にとっても勉強になりました。会社の規模が違いますし、目指す方向も違うのですぐに取り入れることはできませんが、参考にして活かしていきたいと思います。
私の住宅に対する考え
建築家として、工務店と一緒にこのような研修に参加する機会は初めてです。ついつい建築家目線で見てしまいますが、家づくりの最前線にいる皆が悩んでいることや、取り組んでいることを聞けるのは、貴重な機会だと思います。
私は「住宅(建築)は建築家の感性だけでは作れない」と考えています。施主の要望や予算はもちろん、工法、材料、立地、法律、施工者など多くの関係者、そしてその時代に大きく影響をうけます。それも感性なのかも知れませんが、できるだけ多くの方に共感してもらえるような住宅を設計していきたいです。
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今年もブログは毎週月曜日(+α)更新予定です。
木下治仁
一級建築士/合同会社HKA 代表
1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。



