建築家と工務店の間にあるわだかまりを解いて、新しい関係を築く試み
大阪で開かれたミーティングに参加してきました。どんな会議か一言で言うと「建築家と工務店は仲良くしよう!」です。
私が参加して感じたことなど、議事録としてブログにまとめておこうと思います。

どんなミーティング?
国産の木材にこだわった家づくりをしている全国の地域工務店が参加する「地球の会」、その会に所属する建築家の武川正秀さんがリーダーとなって「建築家と工務店の協業」をテーマに、お互いの立場から率直な意見を述べました。
「やっぱり、お互いを知ることが何より大切だよね」
今回で5回目のミーティング、まずは前回までを振り返りました。
お互いの利害を離れて「本音で話す機会が持てたことがとても良かった」という意見が多かったです。緊張して向き合っていた関係から何でも言い合える良好な関係に変化したように感じています。
新しい関係を目指すなら、まずは腹を割って話すこと、それが信頼を得る第一歩です。
そもそも何が問題なのか?
協業を進める上で課題が見えてきました。
責任所在が不明瞭→問題が起きた時の責任はどちらなのか
役割分担があいまい→どこまでを誰がやるのか
時間軸のズレ→いつまでに何を終えるのか
この中で特に課題だと思われていた時間軸のズレです。そもそも自分(会社)の時間軸で仕事を進めていて、相手の立場になって考えていませんでした。それがお互いのストレスになっていて、協業が難しい原因の一つだったのです。
本音で語り合ったからこそ判った問題、といっても事前に話し合いをすることで解決できそうです。
他にも「モデルハウスのような単発的な協業よりも、継続して一緒に取り組む方が良い」という意見がありました。
単発の協業は失敗事例として耳にすることがあります。モデルハウスを頼んだけど成果が出なかったと。工務店の普段の設計とかけ離れた設計、地域性を無視した設計の場合に起こりやすいです。
継続する目的は成果が出るまでに時間がかかるのと、若い設計者が相談する機会を増やしたいということです。
そう言われてみると、先輩方でうまくいっている事例は継続的に協業していますね。
実際に協業できるのか?
協業を話し合う“継続的な場づくり”があれば、十分に可能性がありそうです。
このミーティングを通じて感じたのは「工務店は何が課題で、建築家はそれに対して何が出来るのか?」を、きちんと話し合うことが大事だということ。工務店の規模もそれぞれ、スタイルもそれぞれ、課題もそれぞれなので、それに応えられる建築家もそれぞれなのです。
とにかく、とにかく話し合う場が必要だということですね。
協業は街並みをよくするための手段である
建築家一人が携わる住宅の数よりも工務店が携わる住宅の数の方が10倍以上多いと言われます。私たちがどんなに頑張るよりも、工務店が頑張った方が日本の風景は美しく保たれます。
つまり、工務店が街並みを意識しないと、どんどん日本の風景は壊されていくことになるのです。
街並み好きの私としては、自分の設計力を活かす場となり、自分の想いを伝えて日本の風景を少しでも良くできる場になったら嬉しく思います。
次回は7月の初めに、福井県の工務店を訪ねる予定です。
木下治仁
一級建築士/合同会社HKA 代表
1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。



