スペインロマネスク巡礼|2/N カダケス・リポイ編
二日目(2025.09.18)
この旅行の目的はロマネスク教会と修道院を巡ることですが、私にはもう一つの目的がありました。
教会は必ず街や集落と一体になって存在しています。それは住民の心の拠り所となっているからです私は街歩きが大好きなので、見学先や宿泊先での街歩きも、今回の旅の大切な目的の一つでした。
カダケス

二日目の朝は散歩から始めました。カダケスでは街の高台にある教会を目指して歩きます。坂が多いこの街の石畳の道は滑りやすいのですが、石を木端立てに並べ滑り止めにしてあり、手間をかけた工夫を感じられました。地元でとれる石を使っているので、カダケスらしい独自の仕上げになっています。


サン・ベレ・デ・ロデス修道院
さて、2日目にしてロマネスク修道院のハイライトの一つ、11世紀初めに建てられたサン・ベレ・デ・ロデス修道院(Monestir de Sant pere de roda)に向かいます。標高700m、車で行くのも大変な場所に、当時の修道士たちはどうやってここで暮らしていたのだろうかと不思議に思います。

この修道院からは地中海を一望することができます。閉ざされた禁欲生活をイメージする修道院ですが、どこかおおらかな気持ちで修行をしていたように感じます。そう感じるのも気候が良いから。冬の寒さの厳しい時期は雪が積もったことでしょう。冬の間は下界へと降りることもなく、ただ修行に耐えていたのだと想像します。

ところで、ロマネスク建築とは10〜12世紀にかけて西ヨーロッパ全土に広がった教会を中心とした建築様式です。その特徴は、厚い石造りの壁やアーチ状の開口部や天井にあります。その後に続くゴシック建築とは違い、ローマ風の素朴(粗野)さや力強さを感じる様式です。



サンタ・ヘレナ・デ・ロデス教会

サン・ベレ・デ・ロデス修道院の道すがらにある教会です。扉が閉ざされて内部は見学できず、外からの見学になりました。
サンタ・マリア・デ・リポイ修道院
次に訪れたのはリポイのサンタ・マリア・デ・リポイ修道院(Monestir de Sant Maria de Ripoll)です。リポイ修道院の見どころはなんと言っても扉口(potal)のレリーフで、カタルーニャの三大ロマネスク傑作の一つに数えられています。聖書の内容を知らない私にはただただ手間をかけた見事な彫刻としか見えませんが、同行者には熱心に彫刻の意味を確認されている方もいました。


この聖堂(バシリカ)はブロック状に切り分けた石を積み上げており、モダンでシンプルな雰囲気が私好みでした。調べてみると19世紀に建築家エリアス・ロジェントの指揮により献堂されたものでした。どこか現代風に感じた理由がそこにありました。



リポイの修道院は9世紀に創設されて以来、地震や火災、取り壊しなど幾多の危機を乗り越え、現在に至ったその姿は凛とした美しさを感じます。
遅めの昼食をとると時間はすでに3時。明日はいよいよ念願のボイ渓谷へ。リポイからの移動距離は300kmもあるため、足早に宿泊先のボイのホテルへ向かうことになります。

ホテル:Hotel Caldas

カダケスからリポイを経由してボイ渓谷まで約450km
旅の記録はこちらから
スペインロマネスク巡礼|2/N カダケス・リポイ編
木下治仁
一級建築士/合同会社HKA 代表
1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。



