「神は細部に宿る」奏楽棟の方杖に込めた想い──第20回「木の建築賞」
「木の建築賞」は、木材を主役とした優れた建築物や、木の普及に貢献した活動を表彰する賞です。NPO法人 木の建築フォラムなどが主催し、木の文化の継承と発展を目的に開催されています。大きな特徴は、全国7ブロックを毎年持ち回りで開催する「地域循環型」である点です。2025年度は関東・甲信越地区が対象です。単なるデザイン評価に留まらず、地域の木材活用や職人の技術、環境への配慮なども重視されるのが魅力です。(AIで要約)

審査員のお二人と構造事務所の松嵜さん、木下
先日、奏楽棟の現地審査がありました。
審査員は構造家で木造建築界の重鎮、山辺豊彦さんと、建築家で工学院大学名誉教授の木下庸子さん。構造家と建築家のお二人の審査は、構造と空間デザインの一体性を目指す私には大変嬉しかったです。しかし同時に、奏楽棟がそこに達しているのか試されているようで、緊張しました。


決して怒られているわけではありません、笑
奏楽棟の構造を設計した吉野さんとは、設計にあたり「木と鉄の融合」というテーマがありました。単に構造を成立させるだけでなく、”木”の不得手な特性を”鉄”で補い、木がもつ温もりや繊細さを鉄が引き立てるようにしたいと。
木と鉄を一緒に扱うことを嫌がる大工さんが多い中、奏楽棟の大工の高さんはこのテーマを面白がってくれました。高さんの技が生き、奏楽棟の特徴である方杖に魂が宿りました。

神は細部に宿る GOD IS IN THE DETAIL
ミース・ファン・デル・ローエ
私はこの方杖が、この言葉を体現していると思います。
方杖自体は空間を作る一つの要素でしかありません。しかし、方杖がこの空間の質を支配しています。方杖に刻まれた高さんの技術が、奏楽棟の質を究極まで高めているのです。
質は画像や動画では計れないので、審査員のお二人には、この空間の質を体感して欲しかったのです。
審査結果の通知は来年1月下旬、吉報が届くことを願っています。


2次審査の様子はこちら 奏楽棟の魅力を語る──第20回「木の建築賞」
木下治仁
一級建築士/合同会社HKA 代表
1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。



