曲線と曲線を組み合わせる数寄屋大工の仕事
仲が良い大工さん(奏楽棟の棟梁、数寄屋大工の高さん)から見学会のお誘いがありました。
自信をもって人に見てもらえる仕事であったり、ユニークな仕事であったりと人それぞれ「良い仕事」は違いますが、良い仕事ができたら見せて欲しいとお願いしていました。
現場は銀座、商業ビルに入るファッションブランドの内装工事、材料は古材と無垢材、デザインは数寄屋を意識しているようです。
材料の歴史と進化
道具の進化、機械化、電化と共に材料は直線的なものが増えました。
柱や梁は、かつては丸太から手斧(ちょうな)仕上げ、その後ノコギリ、丸鋸と徐々に直線になってきました。加工が簡易にでき、仕上がりも綺麗になりました。
価値観の逆転
機械化される前は、人の手間が安かったので、直線的に仕上げる方が高価だったのでしょう。しかし今では人の手間が高くなったので、曲線の材(無加工)の方がかえって高価になります。
直線であればプレカットで加工ができます。材料を数値化(X・Y)することで、直線と直線を交えることは機械でもできます。しかし、曲線と曲線を組み合わせることは、人の手にしかできません。材料一つ一つを整えながら組み合わせていく必要があります。職人の技術が現れるので、誰でもできる仕事ではなくなりました。

高さん、渋い感じになりましたね、笑 (Geminiで生成)
数寄屋
高さん(大工さん)は、数寄屋の仕事がしたくてお茶室や数寄屋建築を多く手掛ける工務店に勤めました。
お話を聞くと、以前と比べて数寄屋の仕事が減り、手掛ける大工さんや職人さんも減っているそうです。数寄屋にこだわらず、自分の腕を活かした仕事を手掛けています。おかげで奏楽棟でご一緒することができました。
私は数寄屋のデザインをすることはほとんどありませんが、大工の技を学んで、自分の設計に活かせる時を狙っています。職人技を理解することが、より良い設計、新しいデザインができると信じています。
木下治仁
一級建築士/合同会社HKA 代表
1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。



