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街に余裕を生み出すもの、宮脇檀に学ぶ住宅地計画

2月24日、URA設計塾の講師として愛知県一宮市の地域工務店、エコ建築考房に伺いました。

URA設計塾は2020年から工務店の若手設計者向けとしてスタートしました。今では若手に限らず意欲ある設計者を対象にしています。

今回は、二日目にフィールドワークと言うことで、建築家の宮脇檀さんが関わった住宅地2ヶ所を見学してきました。宮脇さんは建築の設計だけでなく、街づくりにも積極的に関わったことは知っていましたが、実際に見学するのは初めてです。

私たち住宅に関わる者に欠けていること

宮脇さんが活躍された頃、日本はまだ経済的に余裕があり、良い環境(住宅地)を作っていこうという気分がありました。

今でも良い環境を目指して開発される住宅地は多くありますが、多くは環境にコストをかけるほどの余裕がなく、土地と住宅とでギリギリ成立するだけの貧しい開発が多いです。よく目にするミニ開発(建売分譲)がその例です。

外構や庭木に手をかける経済的、時間的余裕もなく、新しい住宅を手に入れるだけで精一杯というのが現状です。家の外、街に対して気が回らないのは良いことではありません。

それは私たち住宅に関わる人間の責任でもあるよう考えます。建て替え時に長年手をかけて作られた庭を簡単に壊して更地にしたり、敷地や道路境界をブロック塀とアルミフェンスで囲い、手入れが面倒だと木を植えないことを許容したり…

岐阜県可児市:桜ヶ丘ハイツ皐ヶ丘/3・4期(1988年)

見学したのは2月末。街路樹の欅には葉がなく、歩道の芝生も冬枯れ。それでも各住戸が植えた樹々に緑を感じます。できればもう一度、新緑の頃に散歩してみたいです。

一般財団法人 住宅生産振興財団のサイトより

街路の工夫

幹線道路は真っ直ぐ区画されていますが、芝生で舗装された緑地帯を波うたせることで、車はスピードを落とすことになります。結果的に街並みに奥行きが出来ています

各住戸が芝生の緑地帯を街に提供することで、穏やかな街並みが形成されています

歩道は芝生で舗装されているので、犬も散歩が楽しいはずです

フットパス

フットパス(抜け道・路地)がところどころに設けられていて、遠回りをせずに目的地に向かうことができます。

私が学生の頃、熊本県五木村の集落を調査したことがあります。山村集落では家や畑へつながる細い路地が張り巡らされていました。そこを通ればわざわざ大きな道に出ることなく最短で向かうことができます。人が時間をかけて自然と作り上げたフットパスがありました。

桜ヶ丘ハイツ皐ヶ丘は、フットパスや歩道の作り方など、人が中心の街づくりのように思います。

愛知県小牧市:グリーンテラス城山(1990年)

一般財団法人 住宅生産振興財団のサイトより

コモンという4〜6戸が共有する共有地が特徴的な住宅地です。コモンを介して各住戸へと繋げることで、街を共有する意識を高めています。

道が蛇行しているので、街に奥行きがあります

コモンは2台目の駐車場として、来客用の共用駐車場として使われます

車の流入を制限しているので、車が通り抜けることができません。散歩していても快適です

コモンのリスク

共有地を作ることはリスクもあります。住人が同じ思いでい続けることができなくなったとき、所有者がかわったときなど、権利を主張したときにどう対応するのか?

法律では縛ることができないので、協定や同意といったもので協力してもらわないといけません。そのためにも、普段からの協力や理解が必要になると思います。

まとめ

今回は予習することなくふらっと訪ねてしまいました。もったいないことをしたと思います。今からでも振り返って復習をしないといけませんね。

二つの住宅地を訪ねて感じたのが、住民は土地を提供し(敷地面積が減)、開発業者は土地を提供(総戸数が減)することで、街に余裕が生まれ、街の価値を高め、街に暮らす人を幸せにしていることです。

自分だけが得することだけを考えず、まずは自分から提供することで、結果的に自分が得をするということです。

これからも、良い環境が形成された住宅街を訪ね、私なりの”気づき”を貯めていくことで、今後の設計に活かしていきたいと考えています。

木下治仁

一級建築士/合同会社HKA 代表

1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。

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