多摩川建築塾の講師を担当しました|その2
建築塾は第3回目に続き、第4回目も私が設計演習の講評でした。
「シーランチ・コンドミニアム」と「中心のある家」
いつものように、はじめは多摩川建築塾の塾長である植久さん(住宅建築元編集長)の講義があります。
今回はチャールズ・ムーア設計の「シーランチ・コンドミニアム」(1965年)と、阿部勉さんの設計の「中心のある家」(1974年)の解説でした。どちらも建築家に人気があり、だれもが認める名作です。
「中心のある家」には、私は2007年にリビングデザインセンターOZONEの「家のワークショップ」で伺ったことがあります。プランからは想像ができない居心地の良さ。家のあちこちに居場所が散りばめられ、どこにいても家族の一体感を感じられる、素敵な家でした。

2階の書斎の様子、窓際にお気に入りの小物が並べてありました

書斎からダイニングとキッチンを見下ろします
今回は前回の講評を修正して提出してもらいました

講評は気になる点を書き出しました
スキルアップに繋げてもらうために、あえて設計手法を縛って取り組んでもらいました。プランをまとめるだけでなく、空間をまとめるスキルを意識してもらうことが狙いです。
私の設計手法で課題に取り組んでもらったので、どの案も私好みのプランにまとまっています。
少しでも”私”の設計手法を身につけることができれば、”自分”の設計手法と比較ができます。どちらが良いではなく、どちらが自分に向いているかと知るだけで、十分スキルアップになると思います。
設計の正解はあるの?
私は設計に正解はないと考えています。あるとすれば、建築主に喜ばれたものが正解です。さらに大正解となると、建築主だけでなく、時間をかけて地域に愛されるようになった住宅だと考えています。
設計者の想いだけでなく、建築主の要望に応えてさらに地域に愛される住宅の設計はとても難しいです。住宅は”私”のものですが、”公”の意識を持って設計に取り組んでいきたいです。
では、なぜ地域に愛される住宅が必要なのか?
街並みが良くなるからです。一軒一軒が良くなっていくと、お互いに影響を与え合って、やがて街全体の風景が変わっていきます。良い街だと感じることができれば、自分の街を誇りに思えるようになります。
自分の街に誇りを持てれば、散歩するのが楽しくなり、道ゆく人が増え、挨拶が交わされ、自然と良いコミュニティが生まれていきます。
そうしたコミュニティがある街は、暮らしやすい街だと思います。
以下、多摩川建築塾について書いた過去のブログです
2026年02月01日 構造は計画の初手で検討すべし!山辺豊彦さんの講義から学ぶ
2025年12月08日 多摩川建築塾の講師を担当しました|その2
2025年10月13日 多摩川建築塾の講師を担当しました
2025年03月21日 【多摩川建築塾】の塾生を募集!皆で一緒に「木造らしい家」とは何かを考えよう!
木下治仁
一級建築士/合同会社HKA 代表
1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。



