世代を超えて共通の記憶となる建築ーー岡山県庁舎
先日、岡山県庁舎を見学する機会がありました。
岡山県庁舎は1957年に建築家の前川國男が設計し完成しました。その後も前川國男が増築に携わり、没後も前川建築設計事務所が増築を設計し利用されてきました。


昨年、耐震改修工事と建物全体のリニューアル工事を終えました。
詳しい解説はこちらのサイトにて。
前川建築を味わい尽くす「岡山県庁舎見学ツアー」が大好評(岡山市公式観光情報)
建て替えではないので職員が引っ越しを繰り返しながら工事を進め、引越しの回数は250回を超えたそうです。
解説をして頂いた職員さんからは、そんな苦労話も聞けて楽しかったです。


右から福富建設の後藤社長と、写真家の垂見さん、広報の後藤さん、私、そして、解説をして下さった県職員の中野さん
以下、参考までに、
毎月2回、見学ツアーがあります。
岡山県庁舎見学ツアー(岡山県庁)
10月10日、11日にイベントがあるそうなので興味がある方は参加してみて下さい。
前川建築シンポジウム%みてあるきツアーを開催します!(岡山県庁)
県民の記憶
今年で竣工してから68年、この時点で3世代がイメージする県庁舎は現在のものです。リニューアルして今後50年間、使用続けると、さらに2世代、つまり5世代が同じ県庁舎をイメージするのです。それは職員にとっても同じこと。
記憶が分断されずに世代を超えることは、県民や職員にとって誇りにつながると思います。
このような建物が基点となり、街並みが形成されていくのではないでしょうか。
近代建築の5原則
フランス人建築家のル・コルビジェは「近代建築の5原則」を唱えました。
・ピロティ
・屋上庭園
・自由なファサード
・水平連続窓
・自由な設計
前川國男はル・コルビジェのもとで学び、モダニズム建築を実現してきました。
岡山県庁舎でもそれは活かされましたが、残念なことに失ったものもあります。
それは屋上庭園です。現在は機械設備の設置場所となり、自由に出入りができなくなりました。
リニューアル工事では、一部でも復元して欲しかったです。

屋上庭園からみた岡山城の眺めは絶景でした
木下治仁
一級建築士/合同会社HKA 代表
1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。



