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ヒューマンスケールが残る街──小布施を散策して気が付いたこと

小布施(おぶせ)と言えば?

申し訳ありませんが、私は栗と北斎しか思い浮かびませんでした。

小布施町は長野市の北部にある小さな町。

散策したイメージは緩やかな斜面地に栗やりんご、ぶとう畑が広がるのどかで、どこか親しみやすい町でした。

小布施の景観

小布施が人気の観光地になったのは1980年代に町(行政)と酒蔵などの地権者(民間)が一緒になって「町並修景事業」を始めたのがきっかけです。

栗の小径

私は街並み景観を大学で学びました。主に山村集落の景観に対してどんな感情を持つのか、景観と感情の相関関係を調べていました。

そんなこともあり、街並みや路地を散策することが大好きです。

私が感じたことは、

  • 水路や小道がたくさんあること

  • 庭木や街路樹で街並みを整えていること

  • 散策を意識たまちづくりであること

これらが散策を楽しく気持ちの良いものにさせていると感じました。

酒蔵がある地域は水が美味しいと言いますね

ヒューマンスケールとカースケール

ヒューマンスケールな街とは人の暮らしを優先した街、快適な暮らしを求めて先人が作り上げた街です。カースケールな街(私の造語)とは車の交通を優先するため、人が車に合わせて暮らす街です。

カースケールな街では歩道を歩くことになります。道の真ん中を歩くことができないので、気になるお店があっても、信号まで歩いて"渡る"必要があります。道路で街が分断されている状況にあります。横断歩道は川に掛かる橋のようです。

好きな場所で渡ることはできず、橋まで歩いて渡ることになると、「あのお店、もういいか」となります。

街全体を歩いた印象ではなく、街の一部を歩いた印象になってしまいます。もったいないですね。

小布施の街に水路や小道が多い理由は、緩やかな斜面に逆らわない自然なつくりのまま、昔の町のつくりが残っているからです。ヒューマンスケールな街が残されていました。小布施の散策が楽しい理由の一つです。

新しく建てる建物との融和

新しく建物を街並みに溶け込ますには、材料を統一する、屋根の形や勾配を統一する、外壁の色を指定するなど、風致地区で見られる手法があります。これは建物を規制する方法です。

他の方法として「樹木を植える」という簡単で効果的な方法があります。

これは行政が指導することが難しいので、住民が自主的に活動していく必要があります。小布施はこの方法で統一した街並みができているように感じます。

最後はお酒のこと

小布施は水が綺麗なことや土地が豊かなこともあり、ワイナリーや酒蔵がいくつかあります。もちろん、散策しながら試飲を楽しめます、そして購入するのが自然の流れ。

私のお勧めは小布施ワイナリーの7種試飲セット、スパークリング1種、赤3種、白3種です。試飲は4時までなので3時半頃に伺うと混み合わずゆっくり試飲できます。

試飲後はほろ酔い気分で、その日の宿へ向かいました。宿へチェックインした後はまた散策しながら温泉へ。本当に散策が楽しい街でした。

木下治仁

一級建築士/合同会社HKA 代表

1975年鹿児島県生まれ。田中敏溥建築設計事務所に13年間勤務し、2016年に独立、2024年に合同会社HKAを設立。東京・代々木を拠点に、木造注文住宅・古民家再生・リフォームの設計監理を手がける。ウッドデザイン賞2度、木の建築賞 職人のチカラ賞受賞。

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